80424

カンタベリー ワットノット

イギリス

ウォールナット材

1900年頃

横幅：57cm　奥行：44cm　高さ：83cm

カンタベリーワットノット(Canterbury Whatnot)とも呼ばれるマガジンラックと飾り台が合わさったようなお品です。
透かし彫りを多用した華やかな造形、天板部分の植物をモチーフとした素晴らしいインレイがアンティーク家具らしい優雅さを感じさせてくれます。
非常に華やかなデザインの中に、イギリスアンティーク家具らしい落ち着きも感じるところが不思議なくらいです。
これだけ繊細なお品が残っていてくれたことに感謝したくなるような素晴らしさですね。

私自身出会うのも久々でしたが、買い付けたとなると10年以上ぶりになるのではないかなと思います。
現地ディーラーに言われて、そういえばそんな呼び名もあったなあと思うくらいに久しぶりでした。
カンタベリーとはマガジンラックのようなお品で、元々は楽譜を収納するために作られたそうです。
マガジンラックでは収納部分は板で作られることが多く、カンタベリーは柱(縦棒)で作られることが多いでしょうか。
さらには下部分に引き出しがついていることが多いです。
有名な大聖堂であるカンタベリーが名前の由来ともされているとも言われています。
ワットノットとは誤解を恐れずに言うと、多段の棚を持つテーブルのようなものというか、柱と棚板のみで構成された飾り棚のような家具です。
カンタベリーもワットノットも買い付けてこられるとなると数年に一度あるかどうか位でしょうかね。
そんな、珍しいと珍しいとが合体したのがカンタベリーワットノットです。
ここまで珍しいお品となると、私も何か語れるほど数を見ることができていないとも思えてきます。
こうした出会いがあるのがアンティーク家具の楽しみでもあり、ままならないところでもありますね。

カンタベリーワットノットは、主にビクトリア女王の時期に作られることが多かったようです。
19世紀末前後くらいと言いましょうか、大英帝国・世界中にイギリス領地があったイギリス絶頂期と言える時代です。
チューダー様式(広義にはゴシック様式)を源として、落ち着いた雰囲気のデザインが多いイギリス家具デザインの中では華やかとも言えるようなデザインのお品も多く作られたところが特徴と言えますかね。
根拠のない私個人の意見ですが、世界的な大帝国を作り上げたことで、様々な外国の様式を取り入れるなど、ワールドワイドであることが流行だったのでしょうかね。
インレイや美しい杢目の化粧張りになっている点では、エドワード王の頃(1900年頃)に流行した装飾です。
ビクトリア女王の次の君主であったエドワード王の時代には、ビクトリアンの反動のように直線的な雰囲気が流行し、彫刻ではなくインレイによる装飾が中心となります。
ビクトリアンの造形にエドワーディアンの装飾がされているという感じでしょうかね。
君主が変わったからと言って突然デザインが変わるわけではなく、その君主の時代に主に流行したデザインというだけで、その過渡期のようなお品も存在します。
令和になって急に平成のファッションや流行が切り替わるなんて思わないのに、体感していない歴史となるとまるで急に切り替わったように錯覚してしまうのも不思議ですね。

滅多に見つからない希少性ももちろん魅力ですが、これだけ美しいアンティーク家具らしいたたずまいのお品というだけでも十分な魅力のお品だと思います。
繊細な構造のため、構造的なぐらつきがありますが、実用上は問題ない程度とお考え下さい。
天板にニスハゲ、下部の飾りにカケ補修、透かし彫り部にひび割れとその補修、引き出し底板に合わせ目のすき間がありますのでお写真でご確認ください。

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当店ではご注文後に商品のお手入れしております。
ぐらつきがないか、引き出しや扉の開閉チェックなど、経験豊富なアンティークのプロが丁寧にメンテナンスします。
お掃除やワックスがけ、足裏フェルトの貼りつけまで行いますので、受け取ったその日からお使いいただけます。
再販売されるようなプロの業者様も納得のメンテナンスですので、実用面でも安心してお使いいただけますよ。

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