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プチポワンアームチェア

フランス

オーク材

1900年頃

横幅：70cm　奥行：71cm　高さ：100.5cm(座面高45cm)

どっしりとした印象のアームチェアです。
これだけの彫刻がされているアームチェアはめったに見つけることのできないものだと思います。
中でもプチポワンの生地が張られたものは10年ぶりくらいになるかもしれないです。
曲線的なX字型のストレッチャー(脚と脚をつなぐ横木)も素敵ですね。
お城のお部屋などにこうした椅子が展示されていることも少なくないように思います。

デザインとしてはルイ14世様式(バロック様式)の影響を強く受けたものだと思います。
かなり簡単に言うと華麗さの中にも壮大な印象を受けるようなデザインとでも言いましょうか。
後脚や座枠の側面部分にも手抜かりなく彫刻がされていることからも、疑う余地もないほどに素晴らしいお品であることが感じられます。
アンティーク家具として素晴らしいためか、華やかというよりもかっこいいと感じてしまいますね。

座面生地の図案はフランスのパリにあるクリュニー中世美術館(Musée de Cluny)所蔵の6枚の連作タペストリー「貴婦人と一角獣」をモチーフとしたものではないかと思います。
6枚の連作タペストリーはそれぞれ、六つの感覚を示したものとされているそうです。
「味覚」、「聴覚」、「視覚」、「嗅覚」、「触覚」、そして「我が唯一つの望み」（A mon seul désir）という6つで、このアームチェアに使われている図案はそのなかの「聴覚」にあたるものですね。
以前パリで中世美術館を訪れた際にそのタペストリーを見たときの感動は今も鮮明に覚えているのですが、貴婦人、ユニコーン（一角獣）、ライオン、可愛らしい動物たちと草花が描かれ、その独特な赤色の背景が強く印象に残っていました。
その記憶があったためかこのアームチェアを見つけた際にこの赤色の背景を見てふと「貴婦人と一角獣」が頭をよぎりました。
旗に描かれた紋章(3つの三日月)を見て、まさにそれがモチーフなのだと確証を得たときは思わず胸が高まりました。
もしかするとこの「聴覚」以外の5つの図案を採用したチェアもどこかに存在していたのだろうか？と妄想が広がります。
プチポワンで描かれた動物たちはどこか可愛らしさが増していて、それもまたこのアームチェアのチャームポイントだと思います。
フランスにとって宝物とも言えるタペストリーの図案を採用したフランスアンティークチェア、なかなか出会えるお椅子ではありません。

アームチェアの中でも少し大きめと言えますかね、デザインだけでなくサイズ感からも存在感があります。
座面高の表記はクッションの頂上で表記しておりますが、少し深めの沈み込みでゆったりとした座り心地でした。
お好みの問題ですが、ひじ掛け部分が少し低いと感じることもあるのですが、ちょうど良い位置にあるように思います。
定番的なプチポワンアームチェアはひじ掛けが床から64cmくらい、このお品が65cmだったので大きな違いはないのですが、沈み込みのためか座面に奥行きがあることで背筋が傾斜しやすいためか、なんとなくしっくりきました。
大きめであることで座面自体も広いので、まっすぐ座るだけでなく横座りというか少し横向きに座ることもできるサイズ感だと思います。
沈み込みや座り心地は身長体重やお好みによって異なるので、実際に座っていただくほかないのですが、私の好み的には座りやすかったように思います。

背面は起毛した生地が張られています。
ひじ掛け付け根にカケ、足先にひび割れがありますのでお写真でご確認ください。

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